Apple iphone Duoのソーシング戦略は「AI」 or 「人間」?

AppleのiPhoneは、日本市場において高いシェアを持っています。最近では、iPhone「Duo」のテレビCMも頻繁に目にするようになりました。
そのDuoの魅力は何といっても折りたたみ式 OLED(有機ELディスプレイ)。本当に魅力的です!
そのDuoに搭載されるFoldable OLEDは、Samsung1社からの調達とメディアで注目されています。
一般的にFoldable OLEDのサプライヤー候補は、大きく分類すると韓国勢、中国勢、台湾勢に分けることができます(下図参照)。

よく議論されるサプライチェーン上のチョークポイントは、「集中度」、「中国への依存度」。
■独占供給合意
3年間の独占供給合意
今回、このニュースで筆者が特に興味を持ったのは、AppleとSamsungの「3年間の独占供給合意」という記事でした。一般的な供給合意であれば、契約時にすべての価格を固定しなくても、「紳士協定」的な運用で売り買いはできるでしょう。
でも、「独占供給合意」となると話は変わります。特定のSupplierだけから調達するのであれば、単なる「紳士協定」では供給リスクは高くなります。”供給の義務”や”購入の義務”を伴う「縛り」(=binding contract)が組み込まれるのが一般的です。さて、ここで気になるのが「合意価格の期間」です。
■競争原理の喪失リスク
スマホの3年製品ライフサイクル
独占的に供給するという拘束があっても、価格や価格の決定方法が明確でなければ、実際の「売り」と「買い」をどのように成立させるのかという問題が生じます。固定価格なのか、毎年改定するのか、原材料や為替に連動させるのか。価格の合意には何らかの仕組み(メカニズム)が必要になる場合があります。
仮にAppleとSamsungの3年間の独占供給合意が成立しているとすれば、それはスマートフォンの一般的な製品サイクルとほぼ重なります。
その3年間、競合Supplierが実質的に価格競争へ参加できないとすれば、DuoのOLEDコストは競争原理を失う可能性があります。製品ライフに渡り1社発注という選択に、予算達成の自信が見えます。
■調達の意思決定
by AI ? それとも by Human ?
意思決定は、
・1990~2000年:KKDで「経験」と「勘」と「度胸」の意思決定(?)
・2000~2010年:QCD+S+Tに見るサプライヤー評価
・2010年~:フレームワークの意思決定
注)調達の意思決定フレームワーク:TCO(Total Cost of Ownership)、ROIC、その他
さて、今回のケースにおいて、定量的意思決定を考えた場合、どのようなフレームワークが適しているのでしょう?
- 最小/最大のコストを見つけ出すならTCOでしょう。
- 投下資金効率から考慮するのであればROICでしょう。
- 今回のように1社購買、もしくは他社との組合せ(複数購買)を判断するとき、簡易的な最適ポートフォリオが参考になると思います。
調達の分散はメリットもあり、デメリットもあります。最適ポートフォリオ理論は、投資分散を前提に損を最小化してリターンを得る「組合せ」を求める目的で使われます。
「在庫の積増し」、「発注量の増分」や「複数購買化」などの”方法論”は知っているが、実施していないなどよくあるケース。
最も大事なことは、購買・調達が動く「サイン」、「トリガ」または「指標」!!
簡単ではありません。社外の経験者や業界に知見のある外部者のアドバイスも取入れながら、下のStepの検討や社内コンセンサスの形成も方法のひとつと思います。
- Step1:リスクの特定(これが結構手間です)
- Step2:対応策
- Step3:サインやトリガなどの検討/指標設計
ところで、このSourcing Decision(ソーシング戦略の意思決定)は「AI」が行ったのでしょうか?それとも「人間」?この「人間臭さ」のある意思決定に、企画台数を売切る自信とSamsung1社でDuo製品を立ち上げ、成功させて見せる!と言うアップル社の強い意思を感じます。
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